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想いあふれて
第7章 終章ー風と光、開く花
───大粒の雨が、乳白色のドームの壁を叩く。
そのばらばらという音が、薄暗い夜の植物園を満たしている。啓の後ろを歩いていたりつかは、ふと立ち止まった。ライトアップを避けるように、物陰でひっそりとうつむき、雫を垂らすくすんだ色の花が佇んでいる。
不意に雨が止み、日差しがドームの薄い壁を通って差し込んだ。
瞬く間に植物園が光に満たされ、木々の緑がつややかに輝き出した。
いつの間にか蝶が、りつかの上を風に乗って揺れるようにひらひらと舞っている。
風は、うなだれた花を静かに揺らし、垂れた雫を優しく振り落とした。陽射しに向かって、花が頭を持ち上げる。
信じられないような鮮やかなピンク色の幾重もの花びらが力強く開き、ドレスのチュールのように膨らんだ。花は中央になるにつれて濃いピンクをにじませている。
目に焼きつくほど鮮烈なその色と、生命力に満ちた姿に、りつかは目を奪われる。
───あの花は、日が当たって風が吹くと上を向いて開くの。開いたとき、それまでと全然違う、鮮やかな色になるのよ。
花とカサブランカで初めて言葉を交わした日を思い出し、りつかは目を覚ました。
ベッドから降り、小さな窓を開け、明け方の柔らかな光を受けて鈍く輝く海を眺めた。
「りっちゃん」

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