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お題小説第6弾「苦い恋」
第1章 苦い恋
え?

彼女の方に目をやると、
マドラーでミントを器用に掬い上げていた。

「爽やかな香りするくせに
 こいつ、苦いんだよね」

その言葉を聞いて、私は
ああ、そうか
と思った。

「噛むと、苦いよね」
「そうそう、
 ちょっとならいいけど、
 食べるもんじゃないよね」

2杯目のモヒートが空になった頃、
私たちは帰ることにした。

新宿駅で別れる。
彼女と私は使う路線が違う。

中央改札で手を振った。

夏津子がJRの改札に吸い込まれていこうとする。

「夏津子!」

私が呼びかけると、
彼女は振り返った。

「また飲もう!」

精一杯の笑顔で言った。
ちょっと、小首を傾げて、
夏津子も笑った。

くるっと踵を返して、
手を掲げて振っている。

彼女が、人混みに消えるまで、
私はその姿を見送った。
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