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地味な僕が女装したらアイドルになってしまった
第1章 スカウト
校門を通ると正面にある花壇の縁に美少女が座っていた
クールビューティで男女共に憧れている生徒会長の佐藤美咲さん…様だ
しかし、美しい顔の眉間にシワを寄せて登校して来る生徒を睨みつけている
…
抜き打ちの服装点検かな…
幸い僕は規定通りの身だしなみ
…の筈だが、ガン見されてる…
しかも、よく写真の構図を測る時にやる、指で四角を作って覗かれた
ロックオン?!
僕、何をしくじったんだ?
制服は指定のもので改造も無いノーマル
シャツもちゃんとしまってるし、ネクタイもしている
髪も普通に黒いし寝癖も直してきた
…
立ち上がった生徒会長様はツカツカツカとこちらに近づいて来た
ヤバイ?!
僕の目の前に立ちはだかり
じっと僕の顔を穴が空くほど睨んでくる
…
近くで見ても美人だ…
何も無ければラッキーなんだけど…
「キミ、生徒手帳見せて」
「は、はい…」
ヤバイ…マジで何なんだろう…鼻毛でも出てるのか…そんなの校則にあったっけ?
震える手でなんとか生徒手帳を取り出して手渡した
「…ふん…1年C組、田中…エイト…くん?」
「ひ、ひでひとです…」
「あ、ごめん、田中英人くんね…」
「は、はい」
「放課後の予定は?」
「と、特にありません」
「そぅ、じゃあ放課後、生徒会室に来て」
彼女は生徒手帳を返しながら言った
「は、はい」
口調からして命令に近く、思わず背筋を伸ばして答えた
「じゃあよろしく!」
踵を返して靡く髪を掻き上げる彼女はカッコ良かった
「…」
校舎の角を曲がる背中を見送った後、緊張が解けてどっと疲れが出た…朝一番なのに…
この日は1日憂鬱だった
僕は普通だ、平均人種だ
背丈も平均、顔も普通、成績も真ん中辺り
運動神経も人並み、特技もこれと言って無し…多少物覚えは良い方かな…
中学ではサッカー部だった
名前が有名選手と微妙に似ているので期待されるも、それ程巧くも無く専らベンチを温めていた
英人は「ひでひと」と読むけどさっきみたいに「えいと」と読まれる事があり「エイト」→「8」で「はっちゃん」とか「はっつぁん」というあだ名が付けられた
それくらいのエピソードしかない
「自分は特別だ」と思った事もあったけど
事実を重ねれば重ねるほど普通だった
僕でならない理由は僕にしかない
地味なモブなのだ
…
なのに何で…

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