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お題小説第9弾「夏の日の…」
第1章 夏の日の…
【夏の日の…】

初夏の空は青く晴れ上がり、
まだ6月だと言うのに、
すでに入道雲を思わせる真白な雲が、
もくもくと湧き上がっていた。

「よいしょっと…」

私、鈴城彩花(すずしろ さいか)は、
洗濯カゴいっぱいの汗臭いユニフォームを、
部室裏にある洗濯機に運んだところだった。

しかし暑い。

まだ梅雨入りしたばかりの晴れ間でこの暑さ。
今年の夏もまた、とても暑くなりそうだった。

「おーい、ダイコン!
 これも頼むわ!」
「ダイコン言うな!」

部員のひとりが悪態つきながらポイと追加でウェアを投げつけてくる。
危うく汗塗れのそれが顔に引っ絡まりそうになる。

鈴城という名前が珍しいのだろう。
古典の時間に『スズシロはダイコンの古名』
と習った際に、口の悪い男子部員のひとりが、
私のことを『ダイコン』と言い出したのがきっかけで、
複数の男どもが私のことをそう呼ぶようになってしまった。

ホント、男は馬鹿ばっか!

怒りに任せてガンガンと洗濯カゴの中のウェアを洗濯機に放り込む。
適当に粉洗剤をまぶしてスイッチを入れる。
てめえで洗えよな!と思わなくもないが、
伝統的に、我が校の陸上部では、
ウェアの洗濯はマネージャーの仕事ということになっているのだ。

いつからここにあるかわからないくらい古い二槽式の洗濯機が、
ガタガタと震えながら回り始めた。

その傍らを練習を終えた陸上部員たちが、
ワラワラと下校していくのが見える。

さっきまでトラックで汗を流していた奴らだ。
走ってる姿はちょっとかっこいいなと思うことがあるが、
ああやって制服に着替えちゃうと、やっぱただのバカ男子だ。

ぼんやりとその光景を見ているうちに、
びーびーっと音がして、洗濯が終わったことがわかる。

ビチョビチョに濡れたウェアを、今度は隣の脱水槽にっと…。

「あちゃー…!
 鈴城さん…もしかして、洗濯終わっちゃった?」

後ろから声をかけられる。
ビクンとちょっと肩が震えそうになったのを必死でこらえる。

三上…先輩?
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