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お題小説第9弾『終わらない夏』
第1章 終わらない夏…
 1

 インターハイ予選は、まだ梅雨が明け切らぬ初夏…
 六月から始まる。
 そして進学校である三年生にとっては、最後の夏の大会でもある――

 わたしは三年生の、憧れの美夏先輩の自主練習のお手伝いをしていた。

 梅雨特有のジメっとした蒸し暑さが、体育館内をまるで蒸し風呂の様に湿らせ、汗が止まらない。

 シュッ…
 ラスト500本目のスリーポイントシュートが、滑らかにゴールリンクのネットを揺らし…

「ナイシュー」
 
「ふぅぅ、よしっ」

「これで明日は、バッチリですね」

「バァカぁ…悠里、そんな簡単じゃないわ」
 笑みを浮かべる。

「でもぉ…」

「明日は、優勝候補ナンバーワンなんだからね」
 と、美夏先輩は自虐気味に言ってきた。

 相手は優勝候補ナンバーワンの、全国でも名を轟かせている私立高校…
 そしてウチの高校は、なんとかシードをギリギリ保っている、しがない進学校。

 その歴然とした力の差は、はなから分かってはいる――

 だけどわたしは、美夏先輩には勝ってほしい、いや、善戦してほしいんだ…
 だってわたしは、そんな美夏先輩に中学生時代から憧れ、こうして高校まで追い続けてきていたのだから。

 元々、美夏先輩は、県内外を問わず、幾つかのバスケット強豪高校からスカウトが来た位の選手であったのだが…
『本気のバスケットは中学まで、将来わたしは医者にならなくちゃならないからさ…』
 と、この進学高校に入学したのだ。
 実家が、この街で代々続く病院であるからこその選択ではあるのだろうが――

 だけど…
『やっぱり、熱い血が騒いじゃってさぁ』
 と、こうして自主練習を必死にこなし、はたまた、塾にも通いながらも、美夏先輩一人の活躍により、このバスケでは弱小進学校をシード校にまで高めた…
 文字通りの文武両道のスーパースターであったのだ。

 だから、わたしも、この最後の大会には、感慨がひとしおの思いで、こうしていつも自主練習にお付き合いをし、協力しているのである――

 だって、こうして美夏先輩と関われるのは、高校までだと分かっているから――

 なんとかわたしなりに猛勉強して、高校までは同じ高校に入学は出来たのだが…
 さすがに同じ大学に入学できる程の学力はないから。

 だから、美夏先輩とも、この夏まで…
 悲しいけれど、それが現実――

 
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