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我慢強い私の恋愛
第1章 一
伊能 伊織(いのう いおり)、23歳。
彼氏と付き合って、半年。彼とは、未だに手も繋いでいない。
それなのに、何故こうなったのか。
「伊織ちゃん、…⋯セックスしない?」
私の住むアパートの玄関。
金曜日の夜。
普段通り、晩御飯を食べるだけのデートをして、アパートまで送って貰って、玄関先でサヨナラをする予定だった。
拓哉君が、玄関に入ってくるまでは。
「えっ……えっと」
フゥ、フゥと耳元で耐えるような吐息をかけられながら、抱き締められたまま緊張して私は体を強張らせる。
田上 拓哉(たのうえ たくや)、28歳。
彼とは職場で知り合った。
明るく、優しい性格。
勿論、いずれこうなる事は自然な流れであって、いつこうなっても良いとは思っていた。
しかし、手も握らないまま半年が経ち、私に女としての魅力がないんだと思っていた。
その矢先、こうして抱きしめられたのが逆に恥ずかしくて戸惑ってしまう。
「大事にしたくて我慢してたけど、もう俺、我慢出来ない……」
辛そうな声が聞こえてくると、更に強く抱きしめられ、鼓動が速まった。
「私も拓哉君としたい……」
口を開くと同時、唇に柔らかい感触が走り、口を塞がれる。
「ふぅん……」
両頬を優しく掌で包みこまれ、キスをされたのだと目を閉じながら理解する。
暑い。ああ、どうしよう。初キス!!柔らかい。嬉しい。
「っ…………んっ…⋯」
何度もちゅっ、ちゅっと優しく唇を吸われると、息を詰まらせながら、何とか鼻で呼吸する。
「……んう……」
その内ぬるっと熱い舌が口内に侵入してくると、私は目をギュッと閉じた。ぬるぬるしていて、気持ちいい。
「う、ううん……」
拓哉君の腰に回した両手に力を込めながら、這わされる舌の動きに自身の舌を合わせて動かす。
熱い。舌も、吐息も。
「ん、う……」
ぬるぬると舌を這わせ、数分後、チュッと唇をはなすと、拓哉君はじっとこちらを見ながら話した。
「部屋、上がっても良い?」
その質問に、私ははい、と頷いた。

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