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美香・透明な婚姻
第11章 最後の夜
翌朝、目が覚めると、外はすでに強い日差しと蝉時雨に包まれていた。障子の隙間から白み始めた朝の光が部屋を照らし出し、私はゆっくりと目を覚ました。私の身体には、彼が与えてくれた熱の余韻と、甘いけだるさがまだ色濃く残っていた。
遠くの居間の方から、無邪気な子どもたちの歓声と、朝食の準備をする気配がかすかに聞こえてくる。それは、彼の妻であり私の妹である由衣が立てる、平和な日常の音だ。夜の闇の中でだけ許された、熱く狂おしい魔法の時間はもう終わってしまった。私たちの特別な夏が、いま完全に終わりを告げようとしているのを、私はひしひしと感じていた
私は早々と帰り支度を済ませ、部屋の中を一通りに綺麗にしてから居間へ行く。昨夜の薄明かりのなかで見せた淫靡な姿はどこにも残さず、そこにはいつもの凛とした「普通の女の顔」の私がいた。昨夜の出来事など夢であったかのように、私は「秀隆くん、おはよう」とだけ短く挨拶した。
玄関先での短い見送り。
「……ありがとう。本当に最高の夏だったわ」
「それじゃあ、気をつけて. 大阪に着いたら連絡ください」と彼が声をかけてきたので、私は小さく頷いた。ふと、私の視線が彼を捉え、口元に微かな笑みがこぼれる。
誰にも聞こえないほどの小さな声で、私は彼の耳元に唇を寄せた。
「……また、来年ね」
そして、
「じゃあね、また来年も来れたら来るわね. 由衣も弘毅もみんな、元気でね」と別れの挨拶を済ませると、私は背を向け、夏のまぶしい光の中へと歩き出していった。
遠くの居間の方から、無邪気な子どもたちの歓声と、朝食の準備をする気配がかすかに聞こえてくる。それは、彼の妻であり私の妹である由衣が立てる、平和な日常の音だ。夜の闇の中でだけ許された、熱く狂おしい魔法の時間はもう終わってしまった。私たちの特別な夏が、いま完全に終わりを告げようとしているのを、私はひしひしと感じていた
私は早々と帰り支度を済ませ、部屋の中を一通りに綺麗にしてから居間へ行く。昨夜の薄明かりのなかで見せた淫靡な姿はどこにも残さず、そこにはいつもの凛とした「普通の女の顔」の私がいた。昨夜の出来事など夢であったかのように、私は「秀隆くん、おはよう」とだけ短く挨拶した。
玄関先での短い見送り。
「……ありがとう。本当に最高の夏だったわ」
「それじゃあ、気をつけて. 大阪に着いたら連絡ください」と彼が声をかけてきたので、私は小さく頷いた。ふと、私の視線が彼を捉え、口元に微かな笑みがこぼれる。
誰にも聞こえないほどの小さな声で、私は彼の耳元に唇を寄せた。
「……また、来年ね」
そして、
「じゃあね、また来年も来れたら来るわね. 由衣も弘毅もみんな、元気でね」と別れの挨拶を済ませると、私は背を向け、夏のまぶしい光の中へと歩き出していった。

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