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『帰り花の夜に』~義母の静謐なる背徳
第3章 義息~超えてはいけない境界線(2)
……そういえば、去年のゴールデンウィーク。

二人が泊まりにきたときも、涼介君の視線は感じていた。最初は気にしなかったけれど、やはり私の胸の膨らみや、お尻、太股を意識的に見ているのが分かった。目が合うと、そっと逸らす。女性は、そういう視線に敏感なの。

長女から「葉月のママって細くて綺麗だね」とか、「ママが素敵だからパパや私のことが羨ましい」と涼介が言っていた、とも耳にしていた。

「ママ、だめよ、涼介を誘惑しちゃ」

「葉月、冗談言わないでよ。あるわけないでしょう」と笑い飛ばしたこともあった。

そんなことを思い出しているうちに、長女が戻ってきた。皆で車に乗り込み、自宅へ向かう。何気ない一日だったけれど、確かに幸せな一日が終わろうとしている。明日になれば、長女はまた家を離れていく。成長を喜ぶ一方で、あの笑顔を暫く見られなくなることが、やはり寂しい。

今日の夕餉はカニ鍋。あらかた準備を終えてから、夕食前に長女に伝えておきたいことがあって、私の部屋に呼び出した。

「どうしたの、ママ? 真剣な顔して」
葉月の顔に、怪訝な色が浮かぶ。

「葉月、あのね……言いにくいんだけど。昨日、彼とエッチしてたでしょう」

「何で分かったの?……あっ、分かった。もしかして、聞こえてた?」

「言いたいのは、そのことなの」
私は一呼吸置いて言葉を続けた

「あのね、私はいいのよ。でも、あの声がもし樹に聞こえたら……今の彼には刺激が強すぎるの。彼女もまだいない、経験もない彼にとっては」

続けて、
「だからといって、だめって言っているわけじゃないの。夫婦が愛し合うことは、とても素敵なことよ。ただ、するなら……声の音量を少し落としてもらえないかしら」

「ええ、そんなに……聞こえてた? 恥ずかしいな」

「葉月、恥ずかしそうには聞こえなかったわよ。あんなに大きな声で……部屋だけじゃないわ。お風呂でもしていたでしょう」

「ママ……亮介ってここでは大人しくてるけど、二人きりになると、すごいの……ほんと~に、気持ちいいのよ~」

「やめてよ~。からかわないで。のろけないの」

ふっとため息をついて、
「でも、相性がよくて良かった。ただ、いくら深夜だからって、お風呂ではやめなさい」

「は~い。そうします。ねえねえ、お腹すいた~。カニが待ってる~。またこの話、ゆっくりしようね。ママ、好きよ」
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