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素敵な笑顔
第26章 音 後日譚 嫉妬
「なんでそんなのわかるのよ」

「詩子さん、
ちょくちょくトイレ流すの忘れてるじゃないですか。
その残り香と同じ匂いです」

「おしっこの臭いなんて、だれでも同じよ。
彩音だって、いつもパンツがおしっこ臭いくせに」

「いやだ。臭いなら、
もう二度と舐めたりしないでください」

「それとこれは話が別でしょうが」

 なんてばかばかしい言い争いをしているのだろう。
詩子さんがわたしのパンツで床を拭こうとするので、
負けじと詩子さんのパンツを手に取り、
競うようにして水分を沁み込ませた。
そのあとは、そのパンツをぶつけ合った。
ほんとうに子どもだなって思うのだけど、
そういうのが楽しくて仕方がない。
ノリが合うのだ。詩子さんと。
だからなにをしていても、なにをしゃべっていても、
時間の概念が狂ってしまうくらい楽しい。
そしていつも不意に、さみしくなる。
詩子さんと結婚することはできないのだ、
という現実を思い出してしまう。
じゃあね、と言って出て行ってしまえば、
それで終わり。
それで終わりにできてしまう。
わたしたちの未来に、
もう上に向かえる階段は用意されていない。
前に進める道は、下り坂だけ。
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