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第26章 Lesson 宿題

「誇りは持っている…だが…幸せかは分からない…」

「分からない…？」

四天王のワタリでも、分からない事があるなんて…

意外な言葉だった。

ドックン…ドックン…

なんとも言い難い感覚が、胸の中を掻き回しだす。

「『幸せ』なんて…一言で言えるほど簡単じゃない…」

「あ…すみません…」

自分の発言が軽々しく感じて、思わず謝ってしまったが

「いや…俺が分からないだけだ…チビはチビの答えで進め…」

「はい…」

「もし途中で後悔しそうになっても…乗り越えろ」

「はいっ」

元気良く返事をすると、ワタリは口端を少し上げた。

鋭く見詰められたイーグルアイには…
どことなく優しさが滲みでている様に思えた。

「じゃぁ…失礼します」

もう一度頭を下げて帰ろうとすると…

「チビ…さっきの宿題だが…」

ドッキン！

今度は本当に、私が出した宿題だ。

「はい…」

ワタリは目を細め…

「ちっとも分からん！」

「はい〜！？」

ワタリって…
繊細なのか鈍いのか…私も良く分からなくなってくる。

「いいです…宿題は無かった事に…」

ただの売り言葉に買い言葉だったし…
帰ろうっと。

どっと疲れた気分で、ドアに向かうとしたら

「オムライス…美味かった」

ズッガァ〜ン！

最後の最後で、背中にキャノン砲を食らわされたのだった。