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第36章 Lesson サンマ

「宜しかったら…帰り道にございますスーパーの特売情報です…タクシーのドライバーには申しつけてありますので…ご遠慮なくお立ち寄り下さい…」

帰り際、そう言ってヤナセは私が寝ている間にネットで調べたのであろう、スーパーの特売情報をプリントアウトしてくれた。

「本当に…どこまでも気が回るなぁ…ヤナセは…」

タクシーの中で特売をチェックしながら、独り言を呟いてしまう。

いつも思うけど…
ヤナセってどんな風に育ったんだろ…

柳瀬財閥を受け継ぐ後継者として英才教育だったんだろうけど…
あの気遣い様は、天性な気がする。

それとも身近に、プロフェッショナルな執事やメイドさんが居たとか…

『ヤナセの七不思議』は今日もネタが尽きない。

結局…

ヤナセチョイスのスーパーで、『秋刀魚』を買って帰った。

なんでかヤナセが

「特に秋刀魚が…お安いところばかりですので…」

そう奨めてくれたから、気分が秋刀魚になったのだ。

「でも…レッスン中に秋刀魚の夢を見た気もするなぁ」

流石、千里眼ヤナセ！

夢の中までお見通しなのかぁ〜！

なんて…

この事実はヤナセとマサキだけが、知っているのだった。