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スイカ割りを、もう一度
第1章 スイカ割りを、もう一度

 いよいよ、明日で退院という夜。病院での夕飯を食べて、少し寝てしまっていた。
 不思議な夢を見た。
 あたしは地面にいて、四人が覗き込んでいる。何か棒のようなものを持って。
 同級生のみんなだ。これは、転んで頭を打った日の夢?
 みんな心配して、地面に倒れたあたしを囲んで覗き込んでいるの?
 一人が、何かを言ってるけど言葉が聞こえない。
 その時だった。
 ドアが開いて、あたしは目を覚ます。
病室に、誰かが入ってきた。
 それは同級生の四人だった。

「お見舞いに来てくれたの?」

 あたしは体を起こした。

「うん、明日退院て聞いたから」

 と小柄な男の子。

「そうなの。やっと病院から出られるんだよ」
「思い出せた?」

 とポニーテールの子。

「うーん、まだ……」

 でも少しずつ思い出せそう、と続けようとして、髪の長い子が何か木の棒を持っていることに気がついた。

「それは?」
「スイカ割りの時の……少しでも早く、思い出してほしくて」
「わざわざ、ありがとう」

 その棒をよく見ると、先に黒いシミがあった。
 スイカのシミ?
 スイカは、みずみずしくて赤いのに。
 じゃあなんのシミ?
 その時だった。
 先ほどの夢の光景がフラッシュバックする。サイレント映画のように無音だったのに、ゆっくりと音声が流れ始める。

「おまえ、ウザいんだよ」
「ほら、ちゃんとやれよ。動くなよ」

 目隠しをした、ポニーテールの……。
 その瞬間、キーンと、頭が痛んだ。
 そうだ、その棒のシミはスイカじゃ無い。スイカ割りのスイカは果物のスイカじゃなかった。
 スイカ役は、あの日叩かれたのはあたし。その黒いシミは、あたしの血痕……。

「ひ……」

 喉が引き攣って声が出なかった。
 この子たちは友達じゃない。あたしをいじめていた人たちだ。

「あーあ。忘れたままだったら、ここから出られたのに」

 あたしはとっさにナースコールを押そうとする。
 その前に、棒が振り上げられたのを視界の隅で捉える。あたしの頭を目がけて、落ちてーー。

「スイカ割りを、もう一度。……ね?」
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