この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ドラゴンの潜む山
第1章 ドラゴンの潜む山
その夜の、日付が変わる頃、穂乃果は電話の着信音で目覚めた。
外は雨と風が強く、たまに雷の音もしていた。その年の夏頃にもらった穂乃果の部屋。だけど雷が怖くて、その日はたまたま穂乃果の母に一緒に寝てもらっていた。
「ええ、はい……寝ようとしてたとこなので大丈夫……え⁉︎ 美桜ちゃんがいなくなったの⁉︎」
母のスマートフォンに電話が来たらしかった。こんな時間にどうしたのだろう。不穏な様子に穂乃果も少しずつ覚醒してくる。
美桜がいない? どういうことだろうか。
「部屋は? 靴は? 警察には……」
昼間の会話が頭をよぎった。
(山だ……)
穂乃果は真っ先にそう思った。山でタケノコが採れるって言ったから、もしかしたら、一人で探しに山に入ってしまったのかもしれない。
「穂乃果、起こしてごめんね。美桜ちゃんがお家に居ないんだって。ママ、パパも起こして一緒に探しに行ってくるからね。ーーいい? 絶対にこの家から出ちゃダメよ」
「……うん」
穂乃果の母が上着を羽織り、部屋のドアを開ける。
「ママ……」
美桜は、山に入ったのかもしれない。喉元まで出かかった言葉をどうしても伝えられなかった。
自分が夕食のあと、タケノコの話をしたせいで。自分のせいで。そう思ったらひどく泣きたくなって、メソメソと母に抱きついた。
「大丈夫、絶対見つけるから」
優しく囁いて、部屋を出ていく母。
穂乃果は不安に押し潰されそうになりながら、部屋で一人窓に張り付きひたすら美桜の無事を祈った。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


