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その足に頬を寄せたい
第1章 その足に頬を寄せたい

 枝豆、焼き鳥、焼きうどん、きゅうり、刺身の盛り合わせ、などなど。おのおので好きな酒や料理を注文し、九時近くになる頃には、すっかり酔いがまわっていた。僕は二人の話を聞きながらの相槌が多かったが、それでも緊張はだいぶほぐれ、笑って話せるようになった。
 高校時代の共通の話題から、自分たちの近況の話へと移っていく。
 僕や達紀の仕事の話にもなったが、朋子自身の話はやんわりと避けているように感じた。それでも、一度東京に出たけど、最近実家に戻ってきた、というのはわかった。
 僕はもともとあまり質問を振れなかった。聞かれて答えるくらいしか。達紀もそこまで深くは尋ねなかった。あまり話したくない、というのをなんとなく察していたからだろう。

「ごめん、ちょっと失礼」

 朋子は立ち上がり、お手洗いの方に歩いていく。金曜日ということもあり、居酒屋は満席だった。

「個室があるとこの方が良かったかな」
「その方が落ち着いて話せたかな……」
「座敷とか」
「座敷?」
「あのブーツ、脱いでくれたかも」
「…………ぶっ」

 僕は口に入れた枝豆を噴きそうになった。
 顔を上げると達紀はイタズラっぽく笑っている。すぐに冗談だと気がついた。

「二件目はバーにするか」

 半分独りごちるように呟き、ハイボールを煽った。
 僕はつい、彼女の足を想像してしまう。脱いだ姿より、今の履いたままの姿の方が魅力的だと思った。
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