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ヒミツのカルテ
第1章 咲希(32)不感症?
「――はぁっ、ん……ああっ……!」
川島の手のひらが素肌を包み込み、熱を帯びた指先で乳頭を優しく弄ぶたびに、咲希の喉からは甘い吐息が途切れなく零れ落ちる。
背後から川島の落ち着いた声が降ってきた。
「こうして直接触れられているとき、……咲希さんは今、どんなお気持ちですか? その素直な言葉で教えてもらえますか」
「――っ……!?」
問いかけられた瞬間、恥ずかしさで咲希の顔の赤みはさらに跳ね上がった。
頭の中は心地よい快感で白濁しかけているのに、自分の言葉でそれを表現するように促されるなんて、想像していなかったからだ。
「大丈夫ですよ。ここでは誰もあなたを否定したりしませんから……。感じていることを、そのまま言葉にしてみましょうね」
川島に優しく背中を押されるようにして、咲希は熱を持った瞼をぎゅっと閉じ、震える唇をようやく開いた。
「……っ……き、……気持ち……いい、です……っ」
それは蚊の鳴くような、掠れた小さな声だった。
けれど、前回までは絶対に口にすることができなかった「気持ちいい」という言葉を、自らの意志で、確かに紡ぎ出したのだ。
「よく言えましたね。……とても素直で、素晴らしいお返事です」
川島の声には、深い称賛と愛おしさが混ざっていた。
その言葉に胸の奥が熱く満たされるのを感じた直後、川島は「すごくいい調子ですね」と優しく告げた。
それを合図にするように、これまで胸の内で動いていた片手とは別に、空いていたもう片方の手が咲希の腰元へと移動する。
かすかな衣擦れの音がして、ガウンを結んでいた紐がスッと器用に解かれた。
「あ……っ……」
はらりと前合わせが左右に押し広げられ、これまで守られていた咲希の身体が、冷気と暖かい診察室の空気の中にさらけ出される。
隠されていたはずの胸や、丸椅子に座る無防備な姿が完全に露わになった恥ずかしさで、咲希は身悶えするように体を震わせた。
しかし、恥じらう間もなかった。
解き放たれた両胸を、今度は川島の両手が同時に、それぞれの優しさで包み込む。
「さあ、両方ともしっかり感じていきましょうね」
左右の乳頭が、あたたかな指の腹と手のひらに挟まれ、ねっとりと、そして執拗に転がされる。
片方だけでも頭がくらくらするほどの快感だったものが、両方から同時に押し寄せたことで、咲希の理性のダムは完全に決壊した。

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