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ヒミツのカルテ
第1章 咲希(32)不感症?
乱れたガウンのままでいる恥ずかしさを感じる間もなく、川島は落ち着いた声で優しく告げた。
「では、そのまま目をつぶってみましょうか」
カチリと壁の調光スイッチが微かに鳴り、仰向けになった咲希の視界を優しく包み込むように、診察室の照明がスッと薄暗く落とされる。
天井の眩しさが消え、プライベートな空間に守られているような安心感がふわりと広がった。
言われた通りにそっと目を閉じると、視覚が遮られた分だけ、他の感覚が研ぎ澄まされていく。
再び川島の温かな手が、無防備な胸のふくらみをしっかりと包み込んだ。
「はぁっ……ん、あっ……」
硬く尖りきった乳頭が指の腹で丁寧に転がされ、先ほどまでの激しい余韻が残る身体に、再び甘い快感がじんわりと染み込んでいく。
片方の手が胸を刺激し続けながら、もう片方の大きな手が、スルスルと咲希の柔らかな腰のラインを伝い、下半身へとゆっくりと伸びていく。
「――っ……!」
未知の領域へと足を踏み入れようとするその気配に、快感の熱に酔っていた咲希の胸の内で、ほんの小さな恐怖が再び顔を覗かせた。
高鳴る鼓動のまま、彼女はベッドのシーツをぎゅっと両手で強く握りしめる。
そのわずかな身体のこわばりを、川島は決して見逃さない。
川島の手は、緊張している咲希のデリケートな部分をあえてそっとスルーするように通り過ぎ、そのまま滑らかに太もものラインへと伸びていった。
「……っ……はぁ……」
下腹部への直接的な接触を身構えていた咲希は、その予想が外れた安堵と、羽毛のように軽いタッチの心地よさに、思わず小さな息を漏らす。
川島の指先は、まるで触れているかいないかのような絶妙なフェザータッチで、咲希の柔らかい太ももを優しくさするように撫で始めた。
足の付け根から膝の上まで、そしてまたゆっくりと腰の方へと、一定の穏やかなリズムで何度も何度も往復していく。
「……んっ……それ…きもち、いい……です……」
その優しく丁寧なスキンケアのような触れ方は、先ほどまで恐怖でこわばっていた咲希の筋肉や神経を、心地よい熱とともにゆっくりとほぐしていった。
「緊張しなくて大丈夫ですよ。咲希さんの身体は、こんなにも素直に心地よさを感じ取っていますからね」
耳元で囁く川島の声はどこまでも穏やかで、シーツを握りしめていた咲希の手の力も、少しずつ確実にほどけていく。

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