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恋心あれば水心
第3章 ご
「わ!山田さんだ!」
「カッコいい!」

皆の興味が私から山田さんに移ったのを面白がるように
視線を一身に集め私の方に歩いてきた。
悔しいけど、カッコいい。

「希望、ごめんな。でももう隠す必要ないから」

私は隠したいんだっつーの・・・

「山田さん。なんで秘密だったんですか?」
「うん。俺は希望との付き合いはいい加減なものじゃなくて
もちろん将来のことまで考えてるんだ」

はぁ?

「まずはお世話になってる部長に報告したかった。
皆のうわさで部長の耳に入るのは避けたかったんだ」

私も初耳なんですけど?

「俺も部長も最新のプロジェクトに付きっきりで
プライベートの報告をする場合じゃなくて。
それで待ってもらってたんだ」
「あ。分かります。プライベートも大事にしたいけど、
仕事が優先になっちゃう時ってありますよね」

数人の男子がうなづいた。
はい。男子を味方につけた~
私もそんなシナリオ初めて聞いた~

「でももう部長に報告したから」

この男の言うことはどこまで信じていいのやら。これからも信用できないな。

「でも何で社内報に?」
「広報の後輩にアイディアを頼まれたんだけど、
この記事の事は希望にも内緒にしてたんだ」
「そうなの?希望。知らなかったの?」
「うん・・・まぁ」

「俺が、希望は俺のだぞって社内に言いふらしたくて。
あんなことしちゃったんだけど」
「きゃぁ」

はい。女子を味方に付けた~

「そしたら希望が恥ずかしいって怒ってるんだ」

そう言いながら私の頭を引きよせてこめかみにキスをした。

「希望、贅沢だよ!!!」
「こんなに山田さんに愛されてるじゃん!」

そーかぁ?

「すげぇ。山田主任、勇気ある」

男子の言う言葉に私も激しく同意!
良く恥ずかしげもなく・・・・

「勇気なんかいらないよ。希望を愛してるから」
「きゃぁぁぁぁぁ」

私は女子の悲鳴を聞かないようにぬるくなったビールを飲み干した。

「不味い・・・」

何よ。私の同期と話に来たわけ?
なんとなくほっとかれているようで悔しくなる。

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