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第5章 『俺』の気持ち
「ただいまぁ……あー、誰もいないんだった……」

連休明けの仕事はただでさえ憂鬱なのに、帰宅しても話す相手がいないとなると更に落ち込む。


テーブルの上には、昼に母親が作った夕飯にラップが掛けられて置かれていた。

温めるのも面倒で、冷えたそれを口に入れる。


”おかえりなさい‼︎ 丁度ご飯出来た所なんです。すぐ食べますか?”

この3ヶ月で当たり前のようになっていた出迎えも、温かな食事も言葉もない。


男のくせによく泣く陽向の泣き声も…

女だからか、あーうーとよく喋った陽花の喃語も……

3ヶ月前に戻っただけなのに、家の中がこんなに静かだと寂しさすら感じる。


「……俺も……帰りを待っててくれる人、探そうかな……」

自嘲気味にそう呟けば、

”私が作ってあげましょうか?”

渚の言葉が頭を占領する。



”……俺は、琉じゃ…ないよ?”



嬉しかったのに…

”俺も好きだよ” とは言えなかった。


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