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第6章 弟の友達
─────…っ

ひどく傷付いたような…

泣きそうにも見える琉の表情。

息を飲んだ愛里咲は、言葉を発する事も出来ず、見開いた瞳で琉を見つめていた。


ゆっくりと…琉の綺麗な顔が近付いて、唇を塞がれる。

熱い舌が滑り込んで来て、愛里咲の言葉を吸い取っていく。


「んっ…ふ、ぁっ……」

必死に繋ぐ呼吸と共に漏れる愛里咲の誘うような声までも、

「愛里咲…っ…」

切なげに吐き出した琉の言葉と共に、またその唇に奪われる。


(何で…っ? 何で、そんな表情……)

何があったのか…

聞いても上手く躱されるのは分かっているけれど、こんな表情を見たら聞かずにはいられない。


それに…

「あ…んっ、な…んで?」

もどかしい程に優しい突き上げに、琉の背中に回した腕ごとその身体を引き寄せながら愛里咲は聞いた。


「は?」

眉根を寄せた琉と視線が絡む。

その瞳が潤んでいるような気がして、

「何で…っ、今日は…あっ…”普通”なの?」

愛里咲の瞳にも、ジワリと涙の膜が張った。


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