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第1章 弟が父親になった

翔から見た琉は、ハッキリ言って”何を考えているのかわからない”扱い辛い弟。

先程の辞書の貸し借りを見る限りでは、どうも兄が弟に顎で使われている感が否めない。

そして、翔から見た弟の嫁の愛里咲は、”琉と同じ歳とは思えないしっかりした子”といった印象だった。


翔がそれをそのまま伝えれば、琉はどこか嬉しそうに笑う。

「確かに愛里咲は芯は強い。けど強がって、言葉にしないモンをいつも溜め込んでんだ」


そう言った琉の表情からは、いつも鈍感な翔にさえ、愛里咲を大事にしている気持ちが伝わってきた。



─────…

「大人になったっつーか、男になったっつーか……なんかムカつくな」

その時の琉の表情を思い出し、翔は眉間に皺を寄せていた。