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コンプレックス
第1章 弟が父親になった

ずっとペーパードライバーだった琉が、愛里咲の妊娠がわかった途端に車を購入した。
翔とその両親の姿は、その車の中にある。
8人乗りの車内は、真ん中席に取り付けられたチャイルドシート2つのせいか狭く感じる。
「翔は双子ちゃんに会うの初めてよね」
三列目シートに父親と座る母親から、助手席の翔に声が掛けられる。
「顔そっくりなんだろ? 見分けられんの?」
窓枠に肘を付きその手に顎を乗せた翔は、窓の外を見ながら面倒臭そうに答えた。
「微妙に違うんだよ」
双子が生まれた昨日から頬が緩みっ放しの父親の言葉に、隣の母親もウンウンと笑顔で頷いている。
「あっそ」
素っ気なく答えれば、ハンドルを握る琉がフッと笑った気がして、翔は胸の中に広がるモヤモヤを消すかのように抜けるような青空を見上げた。
翔とその両親の姿は、その車の中にある。
8人乗りの車内は、真ん中席に取り付けられたチャイルドシート2つのせいか狭く感じる。
「翔は双子ちゃんに会うの初めてよね」
三列目シートに父親と座る母親から、助手席の翔に声が掛けられる。
「顔そっくりなんだろ? 見分けられんの?」
窓枠に肘を付きその手に顎を乗せた翔は、窓の外を見ながら面倒臭そうに答えた。
「微妙に違うんだよ」
双子が生まれた昨日から頬が緩みっ放しの父親の言葉に、隣の母親もウンウンと笑顔で頷いている。
「あっそ」
素っ気なく答えれば、ハンドルを握る琉がフッと笑った気がして、翔は胸の中に広がるモヤモヤを消すかのように抜けるような青空を見上げた。

