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第15章 【おまけ】俺と弟のその夜…
チューチューと陽花が嬉しそうに琉の指をしゃぶる。

ビクッと琉の身体が動いたのが背後で感じた。


「……陽花だろ」

寝起き特有の掠れた低い声。

起き抜け早々に呼ばれたのが、自分じゃない事にちょっとジェラシーを感じながら、そんなことが可笑しくて愛里咲はクスッと笑った。


「……何だよ?」

不機嫌な声と共に、身体の向きをそちらに変えられる。

陽花に片手を預けたまま、琉のもう片方の手は愛里咲の頰へと触れる。


「……腫れ、引いたみたいだな」

芙美に叩かれた愛里咲の頰は、今朝は痛みもなく、どうやら腫れも引いたようだ。


「琉ちゃんは?肩…平気?」

今だチューチューと陽花の口が離さない琉の指。
その先の肩に触れれば、昨日よりも腫れが引いていた。


「もう何ともねぇよ。
─────…って、痛って⁉︎ 」


ホッとしたのもつかの間、琉が痛みに顔を歪める。

慌てる愛里咲を他所に、身体を起こした琉。


「陽花!噛むな!痛てぇだろ!」


愛里咲が琉の肩に手を伸ばし、楽しいおしゃぶりタイムを邪魔されると思ったのか……

立派な歯が生え揃いつつある陽花が、奪われまいと琉の指に歯を立てていた。


引き抜こうとする程に強くなる陽花の歯の力。

苦戦する琉に、愛里咲は笑いが堪え切れない。



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