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第2章 弟の嫁さん
カタンッ…

いつもは外で食べる事が多い翔。

だが最近は社食によく居た。


「あ、夏川さん! 隣いいですか?」

翔の姿を見て駆け寄るのは、琉の高校時代の同級生の槙野 渚だ。

愛里咲が入院中に病室で会って以来、社内で2〜3回見掛けた。

お互い仕事中だったために会釈しただけで、話をするのは今日が2回目となる。


「まさか夏川さんが琉くんのお兄さんだったなんて思いませんでした」

翔の隣の席に座り、お弁当を広げながら渚が話しかけてくる。


「槙野さん、琉の事、好きなんだろ?」

「えっ⁉︎ 」

いきなりの直球。

渚は大きな瞳を目一杯に見開いた。


「わかりやすっ」

顔を真っ赤に染める渚を見て、ケラケラ笑い出す翔。

渚はキッと翔を睨んだ後、小さなため息と共に言葉を紡いだ。


「ドキドキするだけです。名前呼ばれて、笑いかけられて、それたけでドキドキして心臓が爆ぜそうに苦しくなって…」


ズキン…
小さく鈍く、翔の胸が痛む。

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