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第3章 弟の会社
愛里咲の笑顔…

渚の言葉と笑顔…

その日の午後は、翔の頭の中からその二つが振り払えずにいた。

無理矢理仕事を終わらせて、定時で早々に帰宅する。


(やっぱ癒される……)

テーブルに並べられた湯気の立つ家庭的な料理。

そして、ニコニコと話をする愛里咲。

半日ずっと寄っていた翔の眉間が離れ、目尻が下がる。


「それで、私が内診で呼ばれた時に2人同時泣き! 琉ちゃん1人でかなり焦ったみたいで、私が戻った時のホッとした顔がもう可愛くて…あ、これは琉ちゃんには内緒にして下さいね」

内容はほとんどが双子か琉の話なのだが…

余程疲れたのか双子と2階で寝ているという琉に聞こえないように、翔の近くに顔を寄せて小声で話す愛里咲がまた愛おしくすら感じた。



「愛里咲ちゃん、琉に変な事とかされてない?」

「変な事?」

先日、琉が濁した”夫婦生活”の事。

男としての意味でも気になるが、義兄として心配してもいる。

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