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第4章 俺は琉じゃないよ?
「可愛い〜!」

渚の腕に抱かれた陽向が、哺乳瓶から必死にミルクを貪る。

そんな渚を見つめる愛里咲の笑顔はとても穏やかで、

授乳ケープに包んだ陽花に授乳していることも手伝ってか、母親の顔をしていた。


「渚、翔さんと仲がいいんだね。最近の翔さん、家でも渚の話ばかりしてるよ」


陽向にミルクをあげながら、渚は顔だけを愛里咲に向ける。


(───愛里咲を心配しているからでしょ?)


今日だって、愛里咲を励まして欲しいと言われてここへ来た。

翔にとって、愛里咲と共通の知り合いは渚だけ。

翔の話にあがる事が多いのも、共通の知り合いの話なら愛里咲が喰いつくと思ったからだろう。


醜い感情が、渚の心に広がっていく。


初恋の琉、

そして、その琉を忘れさせてくれそうな翔、

どちらも想うのは、目の前の親友……


「私には愛里咲の話ばかりするよ」


俯いた先には、

琉に良く似た強い瞳を向ける陽花。

思わず、陽花を抱く腕に力が篭る。


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