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第2章 ハブの毒牙

人間、たとえヤクザとはいえ、こんな非道なことが平気で出来るものなのだろうか。 幸せな、家族での家での食事のひと時に、なぜ、こんなメールを見なければならないのか。
ただでさえ、必死に平静を装おっている美雪をあざ笑うかのように卑劣で容赦のない行為は、あの男を裏切ったら、自分も夫も、そして娘さえも犠牲になってしまうことを確信するに充分すぎた。

入念に身体を洗っても、ケダモノ達の汚れが落ちるようには思えなかった。
一人になった浴室でシャワーをもう一度浴びながら、美雪は思い切り泣いた。

（聡一郎さん……）
歳の離れた夫は優しかった、半ば強引に親を口説いて美雪と結婚したせいか、交際もないまま一緒になった聡一郎は何不自由なく美雪のしたいようにさせてくれている。