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第61章 近くて甘い

扉の奥から現れた爽やかな笑顔。



「関根っ…」



助かったとばかりに光瑠は姿を見せた要の名前を呼ぶ。



「あ、要さーん！」



「おぉ、望ちゃん、帰っていたのか…」




「っ……お、おいっ…」





もう用無しとばかりの勢いで腕を離された光瑠は悲しげに望の後ろ姿を見る。



要の登場を喜ぶ望に嫉妬して止まらない。





「……また綺麗になったね…」


「そんな…」


「っ……おい関根！子どもを口説くなっ！」


「もうっ！お父さんうるさい！」



「っ…⁉︎」





先ほどの甘い視線はまるで嘘だったのかのような冷たい対応に光瑠はショックを受けて目を見開く。




「………ちょっと、光瑠さん…？」



「昔は……帰って来たらすぐに抱き着いてきて…『お父さん大好き』と……『お父さんと結婚する』と…」



頭を抱えて項垂れる光瑠を見て、真希はハァッと溜め息をついた。




「望はもう15歳になるんですよ…？いつまでもそんな訳ないじゃないですか…」



「分かってるっ…！分かってるが…あんまり過ぎるだろう…っ。お前といい望といい、関根にばかり愛想を…」




楽しそうに要と話す望を見ながらそう切なげに語る光瑠が面白くて真希はふふふと笑った。




「そりゃあ、要さんは優しくて静かで…面倒くさい感じで嫉妬してきたりしない、紳士な方ですから」