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近くて甘い
第20章 王子の申し出
「300番…です…か…」



酒田さんのいう通り、“悪くない”では少し謙遜し過ぎかもしれないくらい、光瑠さんに教えてもらった教科の成績は良かった。


けども───



「もういやっ!」



良かったのは、あくまでも、“光瑠さんに教えてもらった教科”だ。



「っ…まぁでもっ…300番って言っても…ほら、分母によりますし…一概には…」


「310人中300番ですっ…!このままじゃ、まずいぞって先生にも言われてっ…」



机に突っ伏した私を、まぁまぁ、と困った様子で酒田さんが宥めてくれた。


このままじゃダメだ…
いくら他の教科が良かったとしても、主要教科の英語を落としたら、どうにもならない…



「光瑠さんは英語が出来ないし…っ
、それに忙しいし…」



はぁ…と項垂れていたら、突然後ろから、チョコレートの箱が現れて、私はびっくりして振り返った。



「かっ要さん…!?」


「You have me...」


「へっ?」



そう言いながら、ハハハハと笑う要さんの事をジッと見つめた。


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