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近くて甘い
第20章 王子の申し出
酒田さんはくくくと笑いながら、私を会議室入れて、椅子を引いてくれた。



「『俺が教えたんだから、成績はいいに決まっている』って聞いてもないのに、ずっとそれだけ言ってそわそわしてました」


「え?」



家では普通だったけどな…。


今日は復帰してから初めてのテストの成績が出た日。


学校が終わったら、結果を持って、ここに来いと言われたからここに来ているのだ。



「で、結果はどうだったんですか?」


興味津々で私の顔を覗き込んで来た酒田さんに、私は苦笑いを返して、鞄から、成績の紙を取り出した。



「悪くはないんですけど…」


ふぅん…そうため息をついて、隣に座った酒田さんは、紙を見つめながら、目を見開いた。



「悪くないどころじゃないじゃないですかっ!! 化学なんか、学年で30番以内ですし、数学だってとてもいい!! それに英語だって…」



そう言いかけたところで、酒田さんの口は空いたまま固まった。


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