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恋セヨ乙女
第26章 深まる二人
気がつくとまた先生の腕の中で、しっかり抱きしめられていた。


「ん、恭也さん?」


身動きの取れない苦しさとその幸せ、私を抱きしめた先生はスヤスヤと気持ち良さそうに眠っている。


「………」



不思議…



先生と生徒として出逢った16の春が遥か遠いことのように思えた。


「6年…か、」


「何が6年?」



まだ眠そうな先生の声。



「起きたの?」


「ん、おはよ」


寝ぼけた先生がギューッと抱きしめる。



「真優抱きしめると気持ちいい…」


「……もう」


甘える先生の素肌の背中をそっと撫でる。
すると薄らと目を開けて先生が尋ねた。


「…で、何が6年?」


「恭也さんと出逢ってから6年だなって…」



「ああ……」



「今こうしてるのが不思議だなって」


「そう?」


「恭也さんはそうは思わないの?」


先生はうーんと考える。


「別に…」


「えーっ!」



夢がない!そう抗議しようとしたらドキッとする台詞を先に言われた。


「俺は当たり前だと思ってたから、真優といるの」


「………」


「出逢い含めた全部がこうなるためだったんだなって」


何でもなさそうに先生は言うけれど、それって私にとっては結構な殺し文句。


「セックスしたら余計思った」


「もう…」


ふざける先生の腕の中で幸せを噛み締める。


この先もずっとずっと先生との「当たり前」が続いていきますようにと祈りながら…

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