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恋セヨ乙女
第12章 嫉妬
見られていることに気づいたのだろうか、先生もふいにこちらに目を向ける。


そして目が合って大地と先生、二人の間で冷たく視線が交わった。


「…大地」


「………」


「大地」


動かぬ大地を揺すると大地が我に返る。


「電車、来たよ」


プシューっと圧を抜くようにドアが開く。
大地の腕を取り先生から逃げるように電車に乗り込んだ。
空いてる席に座り先生は違う車両に乗ったのだろうかなんてぼんやり考える。


今朝まで同じ車両に乗っていたのに…
ついそんなことを考える自分の女々しさに気づいて慌てて打ち消した。


そうだ、もう関係ない。
私は大地を見ていこうって決めたんだから。
先生は先生であってそれ以上のものはないんだから。


隣を見ると大地も何かを考えるような目をしていた。
車窓が鏡のようにそんな大地と私を写していた。





静かだった大地が口を開いたのは地元についてからの事だった。


「修学旅行、あいつも行くんだよな?」


「あいつって…」


「教師、さっきの」


「そりゃ先生だもん」


大地はまた黙り込む。そして私を呼んだ。


「真優」


「………」


「早く俺のこと好きになれよ」


「えっ」


ひどく切ない大地の目。
その目に捕らえられていると視界が覆われる。
大地の匂いに包み込まれ、私は抱き締められてるのだと気づいた。


「真優」


僅かに大地が離れ見つめられた。
その目はどこまでも真っ直ぐで反らせない。


そして勢いよく大地の唇が近づいた。
……キスされる。
覚悟に似た気持ちでギュッと目を瞑った。


でも 一向に大地の唇が触れることはなく、そっと片目を開けてみると…


「クッソ、拒めよ」


初めて聞く大地の声。


「好きな奴としかしたくないんだろ?何おとなしくしてんだよ」


私の事は大体分かると言った大地の言葉は嘘じゃないのかもしれない。
先生と視線を交わした後、不安定になる大地はきっと私の気持ちまで見抜いてる。


「それじゃ意味ねーんだよバカ真優」


「大地…」


「早く俺だけ見ろバカ」


大地はまた私を強く抱き締めた。
私の気持ちを知りながら私を踏みにじらないギリギリで想ってくれる。
こんなにも好きでいてくれる。







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