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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
城内にも熱が伝わってくるほどに、火の勢いはすぐそこにあった。

家臣たちが、鬨をあげて立ちあがったようだ。

「おっー!  おっー!」

彼らの頼もしげな声が、この部屋にまで聞こえてくる。

「菜々様、早くお支度を」

「そうじゃな・・・・」

勝重の正室、菜々姫は城内の一室で数名の侍女たちと共にいた。

三年前、この城に嫁入りしたのが昨日のことのように思える。

若き君主、勝重と共に過ごした日々は幸せに満ちていた。

後継ぎは作れなかったが、焦りはなかった。

戦国の世とはいえ、この穏やかな日々がまだしばらく続くと思っていた。

それがこんなことに・・・・・。

「菜々様、早く・・・・・」

「わかっておる・・・・・」

艶やかな打掛、そして小袖を脱ぎ捨て、菜々は襦袢だけの姿となった。

菜々は、周辺の国々に響き渡る美貌の持ち主だった。

美男であった勝重と菜々の夫婦は、民衆たちの自慢でもあった。

「これも脱ぐ」

二十二歳の妻、菜々はためらうことなく襦袢も脱ぎ去った。

白く美しく輝く姫の裸体。

全裸になって背を向ける菜々の後ろ姿に、侍女たちは思わず見惚れてしまう。

「菜々様・・・・」

「何とお美しい・・・・・」

時間は限られていた。

「奥方様、お支度はよろしゅうございますか」

閉ざされた戸の向こう側から、家臣の1人の緊迫した声が届く。

「まだじゃ。今しばらく」

「ははっ」

菜々は、全裸のまま、侍女たちを見つめ、優しげに言った。

「はようせい。覚悟はできておるぞ」

菜々の言葉に、侍女たちは皆は目が覚めたように手を動かし始めた。

着替えを終えた菜々は、自ら戸を開けた。

「すまぬ、待たせたな」

「奥方様・・・・」

控えていた家来たちが、平伏していた顔をあげ、涙を浮かべる。

薄汚れた粗末な襦袢と小袖を身につけた菜々姫がそこにいた。

美しく光る髪は束ねられ、それを隠すように濃紺の手拭いをかぶっている。

貧しい農民の姿以外の何物でもなかった。

「奥方様、そのようなお召で・・・・」

「悲しむでない。わらわはこれでどこまでも逃げる覚悟じゃ」

「では、奥方様、こちらへ」

菜々は鎧姿の家来二名と足早にその場を去った。

襦袢の下、菜々の胸の谷間に銀色の十字架が光っている。

その胸元を、菜々はそっと抑えた。
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