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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
敵方の炎は天守の付近にまで迫っている。
もはや籠城が続けられる状況ではない。
城内に残された者たちは、皆覚悟を決めていた。
「かくなる上は、敵に討ち入るまでよ」
「冥土の土産にあやつらの首級稼ぎをしようではないか」
「絶対に殿に手出しはさせぬ」
「我らが砦になり、殿と奥方様をお逃げあそばすのじゃ」
「藤川の武将どもの土壇場での底力を見せてくれるわ」
数十人の勇猛な家来たちが、武具を備え、語り合っている。
その眼は悲壮と興奮の光に満ちていた。
城主、藤川勝重は一段高い式台から、彼らを見つめている。
溢れ出る涙が止まらない。
勝重、このとき二十五歳。
父の死に伴い、この城の主となったのが三年前。
小国であるが故、戦国の世では過酷な運命がこの国には待っていた。
友好関係を結んでいた隣国が、突如寝返り、怒涛の攻めを開始。
周辺国もそれに従い、勝重の国はほぼ孤立した状態となった。
代々守り続けてきたこの地を、しかし、勝重は簡単には渡さなかった。
1年近くの籠城戦を選択し、勝重方は善戦を続けた。
だが、城内の疲弊は明らかであり、もはや餓死者も発生する事態となった。
家臣達は、勝重にある提案を献上した。
「なんと、余を逃亡させるというのか」
「さようでございます。自害したと見せかけ、殿にはお逃げいただく」
「だが」
「唯一、○○国だけは、我らに中立を貫いております」
事実だった。
大半の周辺国が攻め入っている中で、唯一そこに加わっていない国があった。
家来たちは地図上のその場所を指し、熱っぽく語った。
「殿には奥方様とここにお逃げあそばし、我が藤川家の再起を図っていただくのです」
「我が藤川家の再起・・・・・」
「ここで絶やしてはなりませぬぞ」
家臣たちは、苦しげに沈黙する勝重に訴えかけた。
「なりませぬ!」
「殿、ご決断を!」
勝重にはまだ子がいない。
家来たちの願いは強硬なものだった。
「皆のもの、すまぬ・・・・」
「殿!」
「この勝重、そなたたちの思い、決して忘れぬぞ。かくなる上は最後まであがくまで」
戦国のならいに背き、勝重は生き延びる道を決断した。
美しき妻、菜々と共に。
もはや籠城が続けられる状況ではない。
城内に残された者たちは、皆覚悟を決めていた。
「かくなる上は、敵に討ち入るまでよ」
「冥土の土産にあやつらの首級稼ぎをしようではないか」
「絶対に殿に手出しはさせぬ」
「我らが砦になり、殿と奥方様をお逃げあそばすのじゃ」
「藤川の武将どもの土壇場での底力を見せてくれるわ」
数十人の勇猛な家来たちが、武具を備え、語り合っている。
その眼は悲壮と興奮の光に満ちていた。
城主、藤川勝重は一段高い式台から、彼らを見つめている。
溢れ出る涙が止まらない。
勝重、このとき二十五歳。
父の死に伴い、この城の主となったのが三年前。
小国であるが故、戦国の世では過酷な運命がこの国には待っていた。
友好関係を結んでいた隣国が、突如寝返り、怒涛の攻めを開始。
周辺国もそれに従い、勝重の国はほぼ孤立した状態となった。
代々守り続けてきたこの地を、しかし、勝重は簡単には渡さなかった。
1年近くの籠城戦を選択し、勝重方は善戦を続けた。
だが、城内の疲弊は明らかであり、もはや餓死者も発生する事態となった。
家臣達は、勝重にある提案を献上した。
「なんと、余を逃亡させるというのか」
「さようでございます。自害したと見せかけ、殿にはお逃げいただく」
「だが」
「唯一、○○国だけは、我らに中立を貫いております」
事実だった。
大半の周辺国が攻め入っている中で、唯一そこに加わっていない国があった。
家来たちは地図上のその場所を指し、熱っぽく語った。
「殿には奥方様とここにお逃げあそばし、我が藤川家の再起を図っていただくのです」
「我が藤川家の再起・・・・・」
「ここで絶やしてはなりませぬぞ」
家臣たちは、苦しげに沈黙する勝重に訴えかけた。
「なりませぬ!」
「殿、ご決断を!」
勝重にはまだ子がいない。
家来たちの願いは強硬なものだった。
「皆のもの、すまぬ・・・・」
「殿!」
「この勝重、そなたたちの思い、決して忘れぬぞ。かくなる上は最後まであがくまで」
戦国のならいに背き、勝重は生き延びる道を決断した。
美しき妻、菜々と共に。