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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
「菜々、ぬかりはないな」

「殿、どうか御無事で」

今一度菜々を抱きしめた後、若き君主、勝重は1人の家来を呼んだ。

「甚八はどこにおる」

「殿、ここに控えております」

台所の片隅の暗闇から、大男がぬっとその姿を現し、勝重の前に平伏した。

足軽頭という低い身分でありながら、この男、甚八は特殊な役割も持っていた。

敵方への探索活動を得意とし、忍びとしての別の顔を併せ持っている。

大柄な体格で極端に無口、そして、感情の読めぬ冷えた容貌。

逞しさと底知れぬ能力を感じさせるという点では、家来随一の人間である。

勝重はこの男、甚八を菜々の護衛として行動させることを決めていた。

「甚八、わかっておるな」

「はっ」

「お主ならわしも安心じゃ。必ずや菜々を目指す場所に導くのじゃ」

「恐れながらこの甚八、命に代えても奥方様をお守りいたします」

「頼んだぞ」

菜々は、甚八とは初対面といってよかった。

城内で何度かその姿を見かけ、底知れぬ不気味さを感じたことを記憶している。

だが、味方となればこれほど心強い男もいない。

「甚八、世話になるな」

「奥方様、拙者がお守りいたします。どうぞご安堵あれ」

そのとき、城大手門方面から、激しい人馬の音が届いた。

「殿、奥方様、もはやこれまででござる」

「うむ、わかった。では、参るぞ!」

自軍を複数に分け、勝重方は別々の箇所で一斉に反撃を仕掛ける戦法だった。

その隙に、勝重と菜々は、攻撃展開していない方面から密かに脱出する。

「菜々、必ずやまた会おうぞ」

「殿・・・」

先に立ち去った勝重の姿を、菜々はいつまでも見つめ続けた。

勝重が振り向くことはなかった。

それは、再会を信じている証でもあった。

「甚八、われらも参ろうぞ」

「奥方様、こちらへ」

そして、菜々は城外の闇に密かに溶け込んだ。

月のない夜だった。

闇を探し続けるように、甚八と菜々は道なき道を進み始めた。

だが、それも僅かな時間であった。

「城から逃げる輩がおるぞ!」

どこからか声がした。

燃え盛る城下のすぐ脇に広がる林の中。

菜々は狂ったように駆け出した。

「逃がすな!」

「藤川の一党じゃ!」

瞬く間に敵方の声が迫ってくる。

ビュン!  ビュン!

菜々の耳元を、幾本もの弓矢がかすめていく。
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