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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
「甚八、わらわはもう走れぬ・・・・」
菜々は息を切らし、足を緩めた。
「奥方様、ご安堵を・・・・・」
甚八が菜々の肢体を隠すように、その巨躯で覆ったときだった。
「控えろ! 控えろ!」
「ここを通すわけにはいかん。わしらを倒してから行くがいいぞ!」
菜々がうずくまる場所と迫りくる敵軍の間に、突如現れた集団がいた。
闇の中でも、菜々には藤川の家紋がはっきりと見えた。
「奥方様、ここは我らにお任せあれ!」
「さあ、早くお逃げを!」
「甚八、早く行け!」
僅か数名の鎧姿の若武者がそこに立ちはだかっていた。
そこには菜々が知った顔の男もいた。
美貌の姫に密かに恋心を抱いていると、家臣の中でよく冷やかされた若者だった。
「すまぬ・・・・・」
「われらが力、とくと見せつけてやります!」
菜々に笑顔を送った後、若武者たちは刀を引き抜き、腰を落とした。
来襲する敵方は優に十名を超えている。
刀を構え、藤川勢をじわじわと取り囲んでいく。
「うおーっ!!」
だが、藤川方の若者たちは勇猛に奮闘を始めた。
激しく交わりあう刀が、闇の中に火花を散らす。
1人を囲むように、敵方は攻め立てる。
「奥方様、さあ、早く」
甚八が菜々にささやいた。
「だが・・・・」
「奥方様が生きることが彼らの願いですぞ」
口数の少ない甚八の言葉は、菜々には重く響いた。
「わかった」
菜々が立ち上がった瞬間、複数の敵方が同時に一人の胴に刀を突き刺した。
「ううっ・・・・・」
だが、彼は決して倒れることがなかった。
なおも立ち続け、狂ったように刀を振り回す。
そして、菜々から遠ざけるように、ふらふらと敵方を遠方に誘導していく。
「わらわは・・・・・、何としても生き延びる・・・・・」
若武者の最後の姿を涙と共に見つめ、菜々は前を向いた。
そして、甚八に守られながら一心不乱に走り始めた。
菜々は息を切らし、足を緩めた。
「奥方様、ご安堵を・・・・・」
甚八が菜々の肢体を隠すように、その巨躯で覆ったときだった。
「控えろ! 控えろ!」
「ここを通すわけにはいかん。わしらを倒してから行くがいいぞ!」
菜々がうずくまる場所と迫りくる敵軍の間に、突如現れた集団がいた。
闇の中でも、菜々には藤川の家紋がはっきりと見えた。
「奥方様、ここは我らにお任せあれ!」
「さあ、早くお逃げを!」
「甚八、早く行け!」
僅か数名の鎧姿の若武者がそこに立ちはだかっていた。
そこには菜々が知った顔の男もいた。
美貌の姫に密かに恋心を抱いていると、家臣の中でよく冷やかされた若者だった。
「すまぬ・・・・・」
「われらが力、とくと見せつけてやります!」
菜々に笑顔を送った後、若武者たちは刀を引き抜き、腰を落とした。
来襲する敵方は優に十名を超えている。
刀を構え、藤川勢をじわじわと取り囲んでいく。
「うおーっ!!」
だが、藤川方の若者たちは勇猛に奮闘を始めた。
激しく交わりあう刀が、闇の中に火花を散らす。
1人を囲むように、敵方は攻め立てる。
「奥方様、さあ、早く」
甚八が菜々にささやいた。
「だが・・・・」
「奥方様が生きることが彼らの願いですぞ」
口数の少ない甚八の言葉は、菜々には重く響いた。
「わかった」
菜々が立ち上がった瞬間、複数の敵方が同時に一人の胴に刀を突き刺した。
「ううっ・・・・・」
だが、彼は決して倒れることがなかった。
なおも立ち続け、狂ったように刀を振り回す。
そして、菜々から遠ざけるように、ふらふらと敵方を遠方に誘導していく。
「わらわは・・・・・、何としても生き延びる・・・・・」
若武者の最後の姿を涙と共に見つめ、菜々は前を向いた。
そして、甚八に守られながら一心不乱に走り始めた。