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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第10章 菜々姫~囚われた戦国の美妻
菜々と甚八が隣国に逃げこんだのは、翌日早暁のことだった。
藤川方を受け入れる手筈は全て整っていた。
甚八の先導により、菜々は目指すべき場所に遂にたどり着いた。
山間に隠れるように存在する、一軒の広大な屋敷。
この国の主が藤川方に密かに用意した場所であった。
「菜々・・・・・・、菜々ではないか・・・・・・・・・」
勝重は、目の前の光景が信じられぬ様子だった。
数日前に既にたどり着いていた彼は、ある噂を耳にしていた。
妻、菜々が国境の盗賊集団に捕えられ、その体を弄ばれた挙句、敵方に差し出されたと。
勝重は、妻との再会を半ばあきらめていた。
「勝重様・・・・・・」
屋敷の庭に立つ夫の胸に飛び込み、菜々は涙を流した。
「菜々、そなた、よくぞ無事に・・・・・・」
粗末ななりをまとった妻の肢体を、勝重がきつく抱きしめる。
「わらわは・・・・・・・」
「何も言うな・・・・・・、何も言うでないぞ・・・・・・・・」
抱擁を続ける二人を、僅かな数の家臣たちが見つめている。
菜々は、しばらくむせび泣いた後、顔をあげて勝重を見つめた。
「甚八がわらわを救ってくれたのでございます・・・・・」
「甚八が・・・・・・・」
「あの男がいなければ、今ごろわらわは・・・・・・・」
庭の片隅にひれ伏す甚八の下に、勝重は歩み寄った。
「甚八、礼を申すぞ」
「はっ」
「見事な働き、褒美をつかわす」
「ありがたき幸せにございまする」
短い言葉を甚八にかけた後、勝重は再び妻の元に歩み寄った。
「菜々、この地から藤川家を再興させるのじゃ」
「殿・・・・・」
「そのためには、ともかく世継ぎじゃ」
「はい・・・・・」
勝重に抱きかかえられるように屋敷に入っていく菜々。
甚八は地に伏したまま、二人が消え去る気配を感じていた。
その夜、菜々は勝重の腕の中に落ちた。
夫は、しかし、気づくことはなかった。
再会を果たした妻が、自分の腕の中で何を想っているのかを・・・・・。
藤川方を受け入れる手筈は全て整っていた。
甚八の先導により、菜々は目指すべき場所に遂にたどり着いた。
山間に隠れるように存在する、一軒の広大な屋敷。
この国の主が藤川方に密かに用意した場所であった。
「菜々・・・・・・、菜々ではないか・・・・・・・・・」
勝重は、目の前の光景が信じられぬ様子だった。
数日前に既にたどり着いていた彼は、ある噂を耳にしていた。
妻、菜々が国境の盗賊集団に捕えられ、その体を弄ばれた挙句、敵方に差し出されたと。
勝重は、妻との再会を半ばあきらめていた。
「勝重様・・・・・・」
屋敷の庭に立つ夫の胸に飛び込み、菜々は涙を流した。
「菜々、そなた、よくぞ無事に・・・・・・」
粗末ななりをまとった妻の肢体を、勝重がきつく抱きしめる。
「わらわは・・・・・・・」
「何も言うな・・・・・・、何も言うでないぞ・・・・・・・・」
抱擁を続ける二人を、僅かな数の家臣たちが見つめている。
菜々は、しばらくむせび泣いた後、顔をあげて勝重を見つめた。
「甚八がわらわを救ってくれたのでございます・・・・・」
「甚八が・・・・・・・」
「あの男がいなければ、今ごろわらわは・・・・・・・」
庭の片隅にひれ伏す甚八の下に、勝重は歩み寄った。
「甚八、礼を申すぞ」
「はっ」
「見事な働き、褒美をつかわす」
「ありがたき幸せにございまする」
短い言葉を甚八にかけた後、勝重は再び妻の元に歩み寄った。
「菜々、この地から藤川家を再興させるのじゃ」
「殿・・・・・」
「そのためには、ともかく世継ぎじゃ」
「はい・・・・・」
勝重に抱きかかえられるように屋敷に入っていく菜々。
甚八は地に伏したまま、二人が消え去る気配を感じていた。
その夜、菜々は勝重の腕の中に落ちた。
夫は、しかし、気づくことはなかった。
再会を果たした妻が、自分の腕の中で何を想っているのかを・・・・・。