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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第12章 泉~遠い昔の記憶
その日以降、荒木は今まで以上に欠席が目立つようになった。
放課後、彼と一緒に遊ぶこともなかった。
あの日の出来事が関係するのだろうか。
荒木のアパートに行ってみようか。
何度もそんな気分になった。
だが、私は踏み切ることができなかった。
荒木がもしも不在だったら、母親と対面することになる。
私はそれがこわかった。
あの日、ふすま越しに聞いてしまった会話が、鮮明に脳裏に刻み込まれている。
僅かに聞こえた、彼女の息を吐くような声。
再会してしまったら、荒木の母親にそれを聞いたことを咎められるような気がした。
あれ以上、あの男に何かされないといいけど・・・・。
子供心に、私はそう祈った。
あの男は、アパートの大家の手下なのだろう。
大家の指示で、家賃を集める借金取りに違いない。
私には、彼がどうしようもない悪党に思えた。
そんな悶々とした日々が続いた、ある日のことだった。
「なんだ、また荒木はさぼりか」
朝のホームルームの時間、担任がクラスメートに向かってそう訊いた。
「荒木君、もう2週間も来てませーん」
女子のクラス委員が、担任にそう告げた。
「そうだよな。全く困ったもんだが、しかし、弱ったな」
その日は進路希望を確認する重要な個人面談が設定されていた。
荒木は高校など行かない。
就職するに決まっている。
クラスの大半がそう思っていた。
だが、担任は何としても彼を今日登校させたいようだった。
面談という機会を利用し、無理にでも学校生活に呼び戻したかったのかもしれない。
ざわつく教室を眺めていた担任の視線が、突然私に注がれた。
「おい、樋口。クラス委員として協力せい」
「えっ?」
私はその時、男子生徒側のクラス委員だった。
「お前、どういうわけか荒木と仲いいんだってな」
「ま、まあ・・・・・」
「今からひとっ走りあいつの家に行って来い」
「今から、ですか?」
「まだ朝だ。どうせたばこ吸いながら寝てるか、ごろごろしてるに決まってる。お前の力であいつをここに引っ張ってこい」
クラスメートたちが冷やかしてくる。
「いいなあ、樋口。授業、さぼれるじゃないか」
笑いに包まれる教室の中、私はその意外な展開に、密かに困惑していた。
その日は、「約束」の月末だったのだ。
放課後、彼と一緒に遊ぶこともなかった。
あの日の出来事が関係するのだろうか。
荒木のアパートに行ってみようか。
何度もそんな気分になった。
だが、私は踏み切ることができなかった。
荒木がもしも不在だったら、母親と対面することになる。
私はそれがこわかった。
あの日、ふすま越しに聞いてしまった会話が、鮮明に脳裏に刻み込まれている。
僅かに聞こえた、彼女の息を吐くような声。
再会してしまったら、荒木の母親にそれを聞いたことを咎められるような気がした。
あれ以上、あの男に何かされないといいけど・・・・。
子供心に、私はそう祈った。
あの男は、アパートの大家の手下なのだろう。
大家の指示で、家賃を集める借金取りに違いない。
私には、彼がどうしようもない悪党に思えた。
そんな悶々とした日々が続いた、ある日のことだった。
「なんだ、また荒木はさぼりか」
朝のホームルームの時間、担任がクラスメートに向かってそう訊いた。
「荒木君、もう2週間も来てませーん」
女子のクラス委員が、担任にそう告げた。
「そうだよな。全く困ったもんだが、しかし、弱ったな」
その日は進路希望を確認する重要な個人面談が設定されていた。
荒木は高校など行かない。
就職するに決まっている。
クラスの大半がそう思っていた。
だが、担任は何としても彼を今日登校させたいようだった。
面談という機会を利用し、無理にでも学校生活に呼び戻したかったのかもしれない。
ざわつく教室を眺めていた担任の視線が、突然私に注がれた。
「おい、樋口。クラス委員として協力せい」
「えっ?」
私はその時、男子生徒側のクラス委員だった。
「お前、どういうわけか荒木と仲いいんだってな」
「ま、まあ・・・・・」
「今からひとっ走りあいつの家に行って来い」
「今から、ですか?」
「まだ朝だ。どうせたばこ吸いながら寝てるか、ごろごろしてるに決まってる。お前の力であいつをここに引っ張ってこい」
クラスメートたちが冷やかしてくる。
「いいなあ、樋口。授業、さぼれるじゃないか」
笑いに包まれる教室の中、私はその意外な展開に、密かに困惑していた。
その日は、「約束」の月末だったのだ。