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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第12章 泉~遠い昔の記憶
「樋口君・・・・」

荒木の母親が、私に見られていることに気付いたように顔をあげた。

美しい頬には、涙の跡があった。

その表情は、たとえ中学生であってもすがりたいと訴えているように見えた。

だが、彼女はすぐに我に返ったように言った。

「ごめんなさい。変なところ、見せちゃったわね」

「おばさん・・・・、大丈夫?・・・・」

当時の私には、そんな平凡な言葉を口にすることしかできなかった。

荒木の母親は、何も問題ないといった風に笑顔を浮かべた。

「大丈夫よ。何も心配しないで」

「・・・・」

「ユウジ、遅いわね。いったい何してるのかしら」

立ち上がった母親は、涙の跡を隠すように、台所に向かった。

水道の蛇口をひねりながら、彼女は言った。

「もうすぐ帰ってくるはずよ。お魚でも見て待ってて」

私に背を向けたまま、彼女は立ち尽くしている。

スリムな肢体の後ろ姿。

スカートから覗いた美しい脚は、眩しいほどの白い肌に包まれている。

私は、荒木の母親の肩が、再び震えていることに気付いた。

泣いているのだ・・・・。

いったいどうすればいいのか、私にはわからなかった。

見てはいけない、大人の秘めた世界を覗き見してしまったような気がする。

彼女を救えない自分が、私は罪なものに思えて仕方なかった。

それ以上、彼女と同じ空間にいることが、私にはできなかった。

「おばさん・・・・、僕、帰ります・・・・」

「そう・・・・、そうね、それがいいわ・・・・」

母親の声には、確かな安堵の気配があった。

私は、自分の選択が正しいことを知った。

「懲りずにまたユウジと遊んでやってくださいな」

「勿論です」

「それから・・・・、樋口君・・・・・」

「おばさん・・・・」

玄関口で、私たちは至近距離で見つめあった。

潤んだ瞳で、彼女は私に懇願した。

「さっきのこと、ユウジには内緒にしてね」

「えっ?」

「絶対に言わないでください。お願いします・・・・」

「おばさん・・・・」

「あの子には心配かけたくないから」

その口調には、いつもとは違う深刻さがあった。

「心配しないで。僕、絶対に誰にも言わないよ」

「ありがとう・・・」

「じゃあ、また来ます。ユウジによろしく」

「うん」

後ろ髪をひかれるような気分のまま、私はそこを後にした。
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