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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第22章 佳織〜夫の知らない妻
険しい山肌を、二人は滑るように降りていく。
「佳織、大丈夫か?」
何度も滑り、泥の地面に手をつく妻を、芳彦は懸命に励ました。
「私は平気よ」
周囲から、夏の虫の合唱がうるさいほどに聞こえてくる。
だが、そんな虫の音にも気付かぬほど、二人は無心で下を目指した。
小屋を出て1時間程度歩いただろうか。
突然闇が開き、目の前の斜面が終わる場所が現れた。
「佳織、助かったぞ」
芳彦は妻と一緒に慎重に斜面を滑り、その向こう側に降り立った。
「あなた、道がこんなところに・・・」
芳彦もまた、その唐突な山の終わり方にあっけにとられた。
二人は片側1車線の細い舗装道路の端に立っていた。
「いったいどこかしら、ここは」
芳彦は慌ててスマホを見つめ、場所を確認しようとした。
「駄目だ、まだ圏外だ」
「宿からは随分離れた場所かもしれないわね」
まだ湿り気を帯びたシャツが、妻の肢体にくっきりと密着している。
男を誘うように濡れた妻の肉体が、闇の中でどうしようもなく官能的に見える。
「とにかく歩こう、佳織。こっちだと思う」
道路には木の枝や葉が散乱している。
「そのうち車が・・・」
まさに芳彦がそう口にした時だった。
前方からゆっくりと近づいてくる眩しい光に、二人は気づいた。
「車だ・・・」
光は幾度かのカーブを曲がりながら、二人に確実に近づいてくる。
芳彦はたまらず手をあげて叫んだ。
「すみません! 助けてください!」
いったん通り過ぎた車が、すぐに道の傍に止まった。
濃い緑色をした四輪駆動車だ。
運転席のドアが開き、男性が一人降りてきた。
「いったいどうしたんだ、こんなところで」
雨と泥にまみれた二人を見つめ、男は驚いたように言った。
「下山中に迷ってしまって・・・。ここに戻りたかったんですが」
芳彦はそう言って、宿の名前を彼に示した。
「あんたら、相当迷ったね」
「・・・」
「今からじゃ車でも危険だぜ、そこに行くのは」
「えっ?」
思いがけぬ彼の言葉に、芳彦は言葉を失った。
「土砂崩れが何箇所かで発生したんだ。その宿に続く道は危ないよ。明日、明るくなるまでは車でも行かない方がいいぜ」
白いTシャツを着たその男は、筋肉の盛り上がったたくましい腕の持ち主だった。
彼は芳彦にそう忠告し、そして佳織を見つめた。
「佳織、大丈夫か?」
何度も滑り、泥の地面に手をつく妻を、芳彦は懸命に励ました。
「私は平気よ」
周囲から、夏の虫の合唱がうるさいほどに聞こえてくる。
だが、そんな虫の音にも気付かぬほど、二人は無心で下を目指した。
小屋を出て1時間程度歩いただろうか。
突然闇が開き、目の前の斜面が終わる場所が現れた。
「佳織、助かったぞ」
芳彦は妻と一緒に慎重に斜面を滑り、その向こう側に降り立った。
「あなた、道がこんなところに・・・」
芳彦もまた、その唐突な山の終わり方にあっけにとられた。
二人は片側1車線の細い舗装道路の端に立っていた。
「いったいどこかしら、ここは」
芳彦は慌ててスマホを見つめ、場所を確認しようとした。
「駄目だ、まだ圏外だ」
「宿からは随分離れた場所かもしれないわね」
まだ湿り気を帯びたシャツが、妻の肢体にくっきりと密着している。
男を誘うように濡れた妻の肉体が、闇の中でどうしようもなく官能的に見える。
「とにかく歩こう、佳織。こっちだと思う」
道路には木の枝や葉が散乱している。
「そのうち車が・・・」
まさに芳彦がそう口にした時だった。
前方からゆっくりと近づいてくる眩しい光に、二人は気づいた。
「車だ・・・」
光は幾度かのカーブを曲がりながら、二人に確実に近づいてくる。
芳彦はたまらず手をあげて叫んだ。
「すみません! 助けてください!」
いったん通り過ぎた車が、すぐに道の傍に止まった。
濃い緑色をした四輪駆動車だ。
運転席のドアが開き、男性が一人降りてきた。
「いったいどうしたんだ、こんなところで」
雨と泥にまみれた二人を見つめ、男は驚いたように言った。
「下山中に迷ってしまって・・・。ここに戻りたかったんですが」
芳彦はそう言って、宿の名前を彼に示した。
「あんたら、相当迷ったね」
「・・・」
「今からじゃ車でも危険だぜ、そこに行くのは」
「えっ?」
思いがけぬ彼の言葉に、芳彦は言葉を失った。
「土砂崩れが何箇所かで発生したんだ。その宿に続く道は危ないよ。明日、明るくなるまでは車でも行かない方がいいぜ」
白いTシャツを着たその男は、筋肉の盛り上がったたくましい腕の持ち主だった。
彼は芳彦にそう忠告し、そして佳織を見つめた。