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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第24章 志津〜人妻ランナーの秘密
「あっ、確か・・・」

声をかけてくれた男性に、志津はぼんやりとではあるが見覚えがあった。

半年ほど前、同じように地方で開催されたランニング大会。

そこに参加したとき、確か彼も・・・

「覚えてますか、私のことを」

爽やかに話す彼は、志津と同じようにランニングウェア姿だ。

明日に備えて走っていたのかしら。

そんなことを考えながら、志津は以前の記憶をどうにか手繰り寄せる。

「確か、以前の大会で・・・」

「ゴールした後、少しだけお話しさせていただきました」

「そうだ、思い出しました」

声をあげた志津に、二人は思わず顔を見合わせて笑った。

夏を思わせる空の下で開催されたその大会で、志津はどうにか完走することができた。

ゴール後にしゃがみこんでいた志津に、飲み物やフルーツを持ってきてくれたのが彼だった。

「ありがとうございました、あの時は」

「思い出してくれたみたいですね」

「はい」

精悍な顔つきの彼に見つめられ、志津は少し顔を赤らめた。

「走ってらっしゃったんですか?」

「ええ。明日はハーフに出るんです」

「凄いですね。私は今回も10キロなんです」

「10キロだって十分凄いですよ」

「まだ自信ないんですけど」

「大丈夫ですよ。楽しんで走ればいいんです」

「そうですよね」

こんな風に夫とは別の、しかも年下の男性と会話を交わすことなど、普段の生活ではまずなかった。

これもまた、一人でレースに参加する楽しみの一つかもしれない。

志津は気分が一層軽くなるのを感じた。

「今回も泊まりで参加ですか」

彼にそう訊かれ、志津は素直に答えた。

「はい」

ホテル名をさりげなく言った志津に対し、彼は少し嬉しそうな表情を浮かべる。

「あっ、私もそのホテルですよ」

「まあ、そうなんですね」

志津もまた笑みを浮かべて彼を見つめた。

西の空を赤く染める夕焼けが、明日の晴天を二人に教えている。

「明日も晴れそうですね」

優しげな口調でそう言った後、彼は志津に向かって言葉を続けた。

「よろしければ夕食ご一緒にいかがですか?」

「いいんですか、私なんかで」

「もちろんです」

「じゃあ、是非ご一緒させてください」

少しくらい好きに生きてもいいわよね・・・・

志津はそんなことを思いながら、彼の誘いをためらうことなく受け入れた。
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