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人妻コレクション~他人に抱かれる妻たち
第25章 涼子〜娘の家庭教師
「ねえ、いい家庭教師がいるんだけど」

大学時代の友人からそんな提案をもらったのは、半年くらい前だろうか。

高校3年生の夏が始まろうとしていた。

吹奏楽部を辞めようともせず、高校生活を謳歌している娘。

「紗絵、大丈夫なの? 勉強のほうは」

「ちゃんとやってるから心配しないで、ママ」

どこか母親を敬遠するような態度が、ここ最近目立つ。

反抗期なのかしら。

振り返ってみれば、自分も同じだった。

どこかせつなく、甘酸っぱい思い出に溢れた高校生活。

サッカー部だった彼と図書館で一緒に勉強すると言いながら、夜の公園でのデートだけを楽しみにしていたっけ。

学生服とセーラー服姿のまま、暗い公園のベンチで交わした初めてのキス。

紗絵にも青春を楽しむ権利はあるけど、でも・・・。

「いいじゃないか。紗絵の好きにさせれば」

「あなた・・・」

「将来後悔するのはあいつだ。もう子供じゃないんだから」

夫に相談しても、いつもそんな言葉が返ってくるだけだ。

難関大学を志望する娘。

大学時代の友人から誘いを受けたのは、涼子がそんな風に悩んでいるときだった。

「家庭教師?」

「それも東大の学生さん。旦那の同僚のお子さんでね。家庭教師をやってたんだけど、今、フリーなんだって」

「紗絵は嫌がると思うわ、家庭教師だなんて」

机に向かおうともしない娘が、家庭教師を受け入れるとは思えない。

それに紗絵は、未だに塾にさえ通っていないのだ。

「ダメ元で一度会ってもらえばいいんじゃないかしら」

「そうねえ」

「彼、優斗くんって言うんだけど、東大生ってだけじゃないのよ」

友人は何か秘密を教えるような雰囲気で、涼子にささやいた。

「優斗くん、凄くイケメンなんだから」

イケメンの家庭教師だなんて・・・。

私立の女子校に通う娘が、どんな反応を示すのか、涼子は不安だけを覚えてしまう。

それでも彼女は、夕食の席で娘に思い切って提案してみた。

「家庭教師ねえ。ためになるのかしら」

想像通りの反応だ。

「ママも経験ないからわからないけど。でも東大の方だっていうし」

ハンサムらしいことは隠したまま、涼子は娘の言葉を待った。

断るに決まってるわ・・・。

彼女が口した言葉は、しかし意外なものだった。

「いいわ、ママ。会うだけならいいわよ」

それが始まりだった。
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