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最後まで
第6章 五、六人目
「我らの子は皆元気か?」
ジルへの抗議をやめ、ニッコリと子供たちの部屋の扉を見ながら言ったのは、白い着物と赤い袴を着た少女だった。
真っ直ぐに切り揃えられた前髪に腰まで伸びた美しい黒髪を和紙で緩く一つに束ねている。
小さな唇はサクランボの様に紅く白い肌によく映えている。
「ああ、イチカ。すこぶる元気だった。」
その少女の頭に手を置き、優しくポンポン叩きながらジルも微笑む。
「そうか。たまには会いたいものだ。」
対して白い着物で黒い袴を着た少女が悲しそうに呟いた。
イチカと呼ばれた少女に対して、此方は真ん中から二つに別れた長い黒髪を緩く二つに和紙で束ねている。
「フタバ…。そうだね。もう少し待って?」
イチカとフタバは双子で似てはいるが、イチカの大きな丸いクリッとした瞳に対して、フタバは切れ長の瞳をしている。
そういう意味では、見分けやすい双子だ。