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Last Kiss
第4章 埋めたい過去
もうすぐ約束の場所に着く。前で並んでいた二人がカフェの前で止まると同時に俺は電柱に少し隠れていた。
人混み、雨の音の中、意識を美優の声に集中させた。微かに聞こえる美優の声。
「……ありがとう、…」
そう言って美優は男に口付けた。
あぁ、……そっか…
一気に奈落の底に落とされた気分だった。この場を立ち去りたい。でも、俺の目は抱き締めあっている2人を逸らさない。
美優、私も好きだって言ったんじゃなかったのか?
あれは俺が作り出した妄想だったか?
どれくらい固まっていたのか、何をすればいいか分からなくなった。
でも、とりあえず家に帰ろう…そして、風呂入って、寝て、…朝が来たらまた考えよう…
俺が歩き出した途端、一気に光を浴びて、身体が力なく抜けて倒れてしまった。
…あぁ、コンクリートが冷たい…そういえば、頭が痛い…雨に当たりすぎたか…?まぁ、いいや…丁度いい、眠ってしまおう…
周りで飛び交う様々な声を聞きながら、俺は目を閉じた。