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梨華との秘密
第5章 蜜の刻
 少し大袈裟な感じで、


「お二人さん、お熱いことで、ご馳走さまで~す。」


 軽~く頭を梨華が下げると、


「梨華、今日の勉強は終わったの?」


 三奈が面白がるように言うと、しまったという表情で顔を引っ込め、


「ハ~イ、お母さま。もう少しで終わります。」


「ぷっ、はははっ、、。」


「ぶっ、うふふ、、。」


 三奈と二人、顔を見合わせ吹き出していた。


「もう、梨華ったら、親をからかうもんじゃないわよ。ねぇ、パパ。」


 俺に振るなよと思いながら、別のことをしゃべっていた。


「ふふ、悪い娘だな、梨華。あとで、お仕置きをあげる。なんて、ね。」


 三奈に、軽くウィンクしながら、オムライスを電子レンジに入れ、ケーキとアイスコーヒーをリビングへ運んだ。


「わぉっ、美味しそう!パパ、お仕置きはお手柔らかに、お願い!」


 ケーキを見るなり、梨華の顔に喜びが爆発したが、お願いはささやくようにつぶやいた。
 軽く了解って感じで、手を振ると、サンキューと背中で聞こえた。


「そろそろ、いいかな、オムライス?」


「あは、楽しみだわ。パパのオムライス。」


 答えようとした瞬間、電子レンジの出来上がりの音が聞こえた。


「はい、どうぞ。お召し上がり下さいな、奥様。」


 軽く会釈をしながら言うと、


「いただきますわ。シェフに後でお礼を言わなきゃね。」


 三奈がウィンクをしていた。


「えっ、美味しい!あなたのお母さんのより、美味しいかも?」


「ありがとう、ママ。でも、お袋には、まだ及ばないかな。」


 少し照れくさかったが、嬉しかった。


「うふ、そう?でも、私が作るのより美味しいわ。」


「ママも、そう思う?私も思ったもん。うふっ。」


「あらら、そんなに誉められると、調子に乗っちゃうよ。アハハッ。」


 勉強を終えたのか、梨華がケーキ皿とグラスを持って食堂に顔を出した。


「ううん、本当に美味しかったもの。そうそう、梨華は、お勉強は終わったの?」


 母親の一言に、首をすくめる風に台所へ足早に去ろうとしたが、


「はい、母上様。梨華はお勤めを完了しました。」


 おどけたように梨華が、軽く会釈した。
 三人で顔を見合わせ、吹き出していた。
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