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左手薬指にkiss
第2章 籠の鍵の行方

 くく、と笑って類沢は俺を抱き寄せた。
 あ。
 一番落ち着ける場所。
 類沢先生の胸元。
 温かみを感じて俺は傷ついた体をなんとかよじらせてすり寄った。
 髪にキスを落とされる。
 ずっとこうしていたいって思える。
 俺は本当にこの人を愛してる。
 そう心から信じられる。
 全身痛いけど、それは揺るがない。
「先生って」
「ん?」
「いや、いいです」
「そう」
 あっさり。
 追及してくれたら言いやすいんだけど、それは俺の我儘だ。
「もう立ち上がれる気がしません」
「一日介護しようか」
「お願いします」
「まずはトイレから?」
「笑い事じゃないんですからねっ」
「あはははっ、そうだね」
 思い切り笑ってるし。
 でも、それが久しぶりに思える。
 何かを押し込めた笑いじゃない。
 病院で呼び覚まされた時のあの顔に似てる。
 俺を落ち着かせて、幸せにしてくれる。
「そういえば今度からどうしよう……」
 独り言。
 だって、俺の拙い知識じゃこれが関の山だ。
 拘束媚薬プレイ。
 言葉にすると恥ずかしすぎる。
「猫瑞希」
「ぜってー嫌です」
 コスプレとか。
 ありえないから。
「似合うと思うんだけど」
「先生のが似合いますよ」
「それ僕がネコってこと?」
「動物のほうのですよっ」
「わかってるよ」
「いちいち言い方がやらしいんですよ」
「あれだけ果ててたのに口だけは元気だよね」
「一杯一杯ですよ……」
 目を瞑る。
 睡魔に引きずり込まれそうな心地よさ。
 なんだっけ、これ。
 疲れ切ったからこそ得られるこの気持ちよさ。
「休んでいいよ」
「先生もお……」
 あっという間に意識がなくなる。

 寝息を立てる瑞希の背中を優しく撫でながら類沢は呟いた。
「ありがとね」
 
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