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アネゴ的カノジョ
第6章 酒と温泉と…
 
「チッ…何なんだよ……」

 漸く布団の山から抜け出した杏子。

 悶々とした気分に悪態を吐き、浴衣の裾を押さえながら廊下を進んでいた。

 未だに葵と顔は合わせづらい。

 脱衣所に穿き忘れたショーツを取りに行く事も出来ずに居た。

「でもアタシ……これじゃ…まるで痴女…だな………」

 自らの体を見下ろせば、太腿を半分程露わにした丈の短い浴衣。

 胸を張ろうものなら、合わせた衿元が開ける程の小さいサイズ。

 更には、いつもの調子でノーブラでいた。

 それに加えての、浴衣が短いにも関わらずノーパン。

 あわよくば、帯を解かなくとも丸裸になりそうな姿に、杏子は顔を熱くさせる。

「まだアイツら…宴会してるよな………」

 職人たちが大広間に居る間に、部屋に戻って着替えようと企てる。

 体にピタッとした浴衣に乳首の隆起をプクッと浮かび上がらせ、短い裾を気にしながら歩けば、その歩みはいつもの数倍も遅くなっていた。

「アタシ…露出の性癖なんてねえってぇの………」

 僅かな物音にもビクッと反応しては脚が止まる。

 キョロキョロと辺りを見回し、人気が無いことに安堵すれば、再び歩きだす。

 亀よりも遅く感じるような歩み。

 先程の部屋を出て十分を経過していても、杏子は未だに数メートルしか進んでいなかった。

「早くしないと…ヤバいよなぁ………」

 気は逸るものの、緊張にドキドキと鼓動を早めながら進む脚は、やはり速度をあげなかった。

「…あ……」

 そんな杏子の耳に届いた声。

「ひゃうっ……」

 次いで肩に感じた衝撃に、杏子は体を跳ね上げたのだった。
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