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アネゴ的カノジョ
第5章 陽と陰
「…何だかなぁ……」
「は…はは……」
杏子のジトーッとした視線を向けられた職人は、渇いた笑いを溢すしかなかった。
床下に落ちた杏子の背中を見て、白いタンクトップが赤黒くなっている事に慌てた職人。
職人らしく杏子を軽々と持ち上げて現場を飛び出すと、軽トラックを飛ばして、この地域にある唯一の病院へと担ぎ込んだ。
しかし、診察室から出てきた杏子に施された処置は、擦り剥いた肘への絆創膏だけだった。
「い、いやぁ……。ほら…光のせいでね……。赤土がてっきりさぁ………」
延々と向けられる杏子のジト目に、職人はしどろもどろになりっぱなしだった。
「まぁ、心配してくれたのは有り難いけどねっ」
運転しながら焦る職人に、頭の後ろで手を組んで助手席に座る杏子はニカッと笑みを見せた。
「あ…あぁ……。ど、どういたしまして………」
そんな杏子の笑顔に、職人は顔を赤らめてどぎまぎとするのだった。
「……っ!?」
職人の反応にニヤニヤとしていた杏子。
視線を外へと向けた瞬間、目を大きく見開いて体を強張らせた。
「きょ…キョウちゃん……。どうしたんだい?」