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第2章 ２

ユウキはクククと笑った。その音波振動がミハルの全身に伝わった。

「悪いけど、私にはどこがおもしろいかわからないわ」彼の存在とともに押し寄せてくる熱気を追い払いたくて、ミハルは噛みつくように言った。

ユウキは笑うのをやめ、彼女の目をじっと見た。「なぜなら、冗談ではないからだ。父上は、僕がお嬢様と結婚をすることに同意した」

一瞬、ミハルは言葉を失った。続いて、今度は自分が笑い出した。「気は確かなの？お父さん、この使い魔の下働きだった彼に言ってあげて。こんなバカなことをお父さんが望んでるはずはないわよね」彼女は父に振り返り、同意を求めた。しかし、父は何も答えず、見たことがないほど悲しい目をしている。ミハルの望みは消え、気丈に振舞った口元の笑いも消えた。
「ミハル」バサラは小さな声で呼びかけ、娘の肩に手を伸ばした。「わかってくれ…」

事態を飲み込むまで、少し間があった。「いやよ！」ミハルは叫び、父の手とその目が語る真実から、身をよじって逃れた。「夜叉の私がなんで餓鬼にも劣る人間の…しかも兄さんを殺した政府の軍人と結婚すんのよっ！」
「母上に聞こえるだろう」大声ではないが、力強い口調でユウキが彼女を戒める。バサラはドアを閉めてミハルを落ち着かせたいと思った。「二人とも落ち着いて、ミハルも話を聞いてくれ」

ミハルは漠然として父に向き直った。「くだらない話を、どうして聞かなきゃいけないの？」
「話も聞かずに、どうしてくだらないと言いきれるんだ？」ユウキがそばから口をはさみ、ピクッと表情が一瞬だけ強張った。

ミハルは、はじかれたように振り返った。「下賤の意見は聞いてないわ」