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僕の伴侶は蜷局を巻く
第3章 3-婚約披露-
「階下(した)はもう、信じられないくらいの人数よ。急な発表だったのに、陸軍省からも高等魔族の方々もい~ぱい来てるわ」
「私の女友達(武家)が数人でも来てくれてれば嬉しいけどね」化粧に最後の手を加えながら、ミハルは皮肉に言い切った。今日のパーティーに来た出席者で誰もこれが恋愛結婚だなんて信じている者はいない。
喜んでいるのは母だけ…。
突然の結婚話を受けて、金剛ハーリーはかつての神官の血筋らしく、華やかに花嫁の母役をこなした。娘のあわただしい結婚と、数人の使い魔が屋敷に戻ってきてくれたが、母は借金でテンテコ舞だった生活を既に忘れてたかのような感じだ。
“ロミオとジュリエット”と書きたてた新聞記事もあった。
私が見出しを書くなら“家族を破綻から救うため身売り”
だが、真実は明るみにならない。
「もう少し色を添えたらいいのに」頬紅をしまう娘を、ハーリーは窘めた。
「顔色が悪く見えるわ。やっぱりお化粧はプロに任せるべきだったわね。緊張しているの?」
「そういうわけじゃないけど」吐き気がする、が正解だ。ミハルはもう一度鏡を覗いた。シンプルな白いドレスと比べても、鏡に映る顔は酷く青白い。
「まあ、いいわ」娘が手直しする気がないことを悟り、ハーリーは言った。「シャンパンでも飲めば、ちょうどいいわ」
ミハルは胃がキリッと痛んだ。めでたくもないのにシャンパン…。
「私の女友達(武家)が数人でも来てくれてれば嬉しいけどね」化粧に最後の手を加えながら、ミハルは皮肉に言い切った。今日のパーティーに来た出席者で誰もこれが恋愛結婚だなんて信じている者はいない。
喜んでいるのは母だけ…。
突然の結婚話を受けて、金剛ハーリーはかつての神官の血筋らしく、華やかに花嫁の母役をこなした。娘のあわただしい結婚と、数人の使い魔が屋敷に戻ってきてくれたが、母は借金でテンテコ舞だった生活を既に忘れてたかのような感じだ。
“ロミオとジュリエット”と書きたてた新聞記事もあった。
私が見出しを書くなら“家族を破綻から救うため身売り”
だが、真実は明るみにならない。
「もう少し色を添えたらいいのに」頬紅をしまう娘を、ハーリーは窘めた。
「顔色が悪く見えるわ。やっぱりお化粧はプロに任せるべきだったわね。緊張しているの?」
「そういうわけじゃないけど」吐き気がする、が正解だ。ミハルはもう一度鏡を覗いた。シンプルな白いドレスと比べても、鏡に映る顔は酷く青白い。
「まあ、いいわ」娘が手直しする気がないことを悟り、ハーリーは言った。「シャンパンでも飲めば、ちょうどいいわ」
ミハルは胃がキリッと痛んだ。めでたくもないのにシャンパン…。