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half. ~Sweet blood~
第11章 主か、家族か…
ガチャンと玄関の開く音がした。
「おい、昂鍵くらい閉めろよ。開きっぱ…な…」
丁度いいと思ったんだ。ユキに見せつけてやろうって…俺は親友の気持ちを裏切ってでも、ルシアといたいって…
「あーごめん」
「いや…俺帰るから」
「帰るのかよ、来たばっかだろ」
ルシアの服を整え膝から降ろす。
ルシアだってユキが来た事は分かってて目を合わせないんだ、こんな状況だし。
「邪魔だろ」
「ん…別に今済んだから」
「昂、お前は何がしたいんだよ」
少し悲しげに、視線は床に落ち…力なく言う雪斗はルシアを一度も見ようとはしなかった。
「ユキがした事と同じ事をしただけ」
「そうじゃなくて、俺に見せつけてまで何をしたいんだ」
「俺中途半端じゃないよ?ルシアの事好きだし、ルシアが望むならルシアと生きてもいいと思ってる…でもユキは?死んだ方がいいらしいからな」
「お前っ…分かって言ってんのかよ」
「俺さ…達希の気持ち分かったよ。ルシアは俺を救ってくれたんだよ…だからルシアが望むならそれでもいい。だって俺やユキが死んだ後…ルシア幸せになる保証なんてないだろ?そんな悲しい事ってあるか?」
「お前人生かけてまでする事か?」
「大切なやつを救えるんだ、それならいい。それがたまたまhalfだったってだけだろ…ユキ、お前はルシアを残して死んでいく事を何とも思わなかったのか?それなら初めからhalfを拾うなよ」
「だな、俺売れば金持ちになれるんだしな。飼う事なかっただろ…ただ、雪斗を責めるつもりもねーし。拾われて助かったのも本当だ…ただいらなくなったんならしょーがねーよ」
「っ…違っ…」
「やきもちか?だから俺にルシア預けたんだよな…勘違いさせてまでする事かよ」
「あのさ、俺が原因なら俺出てくけど」
ほら、まただ…
ルシアは何とも思ってないって顔する。
寂しいとか辛いとか言わない。
見てる方が辛くなんだって…
唇をかみしめる昂は引き止めるように腕を掴んだ。
「俺はっ…ルシアに救われた、俺もルシアに何かしてやりてーって、好きなら当然思う事だろ?同情なんかじゃねーから」